ACMEE制作部ブログ – 印刷で失敗しないための基礎知識

印刷物の制作で気をつけたいポイントをご紹介します

こんにちは。制作部です。

私たち制作部では、ホームページやSNSなどのWeb制作だけでなく、チラシ、パンフレット、会社案内、名刺など、実際に印刷して使用する制作物も扱っています。

パソコンの画面上ではきれいに完成していたのに、いざ印刷してみると、

  • 「写真が思ったより粗い」
  • 「画面で見ていた色と違う」
  • 「文字が小さくて読みにくい」
  • 「端に白い部分ができてしまった」

といった経験はないでしょうか。

印刷物には、Web上の画像やホームページとは異なるルールや注意点があります。

特に注意したいのが、解像度・仕上がりサイズ・塗り足し・色・入稿データなどです。

デザインそのものに問題がなくても、印刷に適したデータになっていなければ、完成した印刷物の品質が下がったり、予定通りに印刷できなかったりすることがあります。

そして印刷物の場合、一度印刷してしまうと簡単には修正できません。

ホームページなら公開後に文字を修正できますが、1万枚印刷したチラシに間違いが見つかれば、場合によっては刷り直しが必要になります。

そのため、印刷物は「デザインが完成したら終わり」ではなく、実際に印刷され、問題のない状態で手元に届くところまで考えて制作することが大切です。

今回は、印刷物を制作するときに私たち制作部が気をつけている基本的なポイントをご紹介します。


印刷前に確認すること

解像度・サイズ・塗り足し

印刷物を制作するとき、まず確認したいのが「どのような状態で印刷するのか」です。

  • A4のチラシなのか
  • A3のポスターなのか
  • 名刺なのか
  • 二つ折り、三つ折りのパンフレットなのか
  • 片面印刷なのか、両面印刷なのか

同じデザインでも、使用するサイズや印刷方法によってデータの作り方が変わります。

そのため、制作を始める前に最終的な仕様を確認しておくことが重要です。

画像の解像度に注意する

印刷物で特に気をつけたいのが、写真や画像の解像度です。

パソコンやスマートフォンの画面ではきれいに見えている画像でも、印刷すると粗く見えることがあります。

原因の一つが、使用している画像の解像度不足です。

例えば、Webサイトに掲載されている小さな画像を保存し、そのままA4チラシの大きな写真として使用すると、画面上では問題なく見えても、印刷するとぼやけたり、輪郭が粗くなったりする場合があります。

特に写真を大きく使用するポスターやパンフレットでは、元画像の大きさが重要です。

一般的な印刷物では、原寸で300~350dpi程度の解像度が一つの目安として使われます。ただし、必要な解像度は印刷方法や印刷会社の仕様によって異なるため、最終的には入稿先の指定を確認します。

ここで大切なのは、単純に画像の設定を「350dpi」に変更すれば高画質になるわけではないということです。

元の画像が小さい場合、解像度の数値だけ変更しても、元画像に存在しない細かな情報まで増えるわけではありません。

そのため、制作前の段階でできるだけ高解像度の元画像を用意しておくことが重要です。

仕上がりサイズを最初に決める

印刷物では、仕上がりサイズも重要です。

例えばA4サイズは210mm×297mmです。

制作途中で、

「やっぱりA3にしたい」

「ポスターとしてもっと大きく使いたい」

となると、単純にデータを拡大するだけでは対応できない場合があります。

文字や写真のバランスが変わるだけでなく、使用している画像の解像度が足りなくなる可能性もあるからです。

また、名刺とチラシでは読みやすい文字サイズも異なります。

どのサイズで、どのように使うのか。

最初に決めておくことで、完成形を想定したデザインができます。

「塗り足し」はなぜ必要なのか

印刷データを制作するときによく登場する言葉が「塗り足し」です。

塗り足しとは、仕上がり位置より外側まで背景色や写真を伸ばしておく部分のことです。

印刷物は、大きな紙に印刷した後、仕上がりサイズに合わせて断裁することがあります。

この断裁位置にはわずかなズレが生じる可能性があります。

例えば、チラシの端まで青い背景にしたい場合、仕上がりサイズぴったりの位置までしか青色を配置していないと、断裁時のわずかなズレによって紙の白い部分が見えてしまうことがあります。

そこで、仕上がり位置より少し外側まで背景を伸ばしておきます。

一般的には上下左右3mm程度の塗り足しを設定するケースがありますが、こちらも印刷会社や商品によって指定が異なります。

また、端ギリギリに文字やロゴを配置することも避けた方が安心です。

断裁位置が少しずれた場合に、文字が切れたり、極端に端へ寄って見えたりする可能性があるためです。

「端まで背景を伸ばす」「大切な情報は仕上がり線から少し内側に配置する」。

この二つを意識するだけでも、印刷時のトラブルを防ぎやすくなります。


印刷会社との連携

入稿時の注意点

印刷物は、制作部だけで完成するものではありません。

制作したデータを印刷会社へ入稿し、印刷・加工してもらい、初めて実物になります。

そのため、印刷会社の入稿ルールを確認することも制作工程の一つです。

印刷会社によって仕様が異なる

一口に「印刷データ」といっても、すべての印刷会社で同じデータを使えるとは限りません。

  • 対応しているファイル形式
  • 塗り足しの設定
  • カラーモード
  • フォントの処理
  • 画像の解像度
  • トンボの有無
  • PDFの書き出し方法

こうした入稿条件は、利用する印刷会社や商品によって異なる場合があります。

そのため私たち制作部でも、

「いつもこの方法だから大丈夫」

と決めつけるのではなく、入稿先の仕様を確認することが大切だと考えています。

特に初めて利用する印刷会社や、普段とは異なる商品を注文するときには注意が必要です。

チラシでは問題なかったデータでも、冊子や特殊な加工を行う印刷物では別の設定が必要になることがあります。

RGBとCMYKの違い

印刷時によく問題になるのが「色」です。

パソコンやスマートフォンの画面では、主にRGBと呼ばれる色の表現方法が使われています。

一方、一般的なカラー印刷ではCMYKが使用されます。

この二つは色を表現する仕組みが異なるため、画面で見えている色と印刷後の色が完全に同じになるとは限りません。

特に、鮮やかな青や緑、明るい蛍光色のような色は、画面では非常に鮮やかに見えていても、印刷すると少し落ち着いた印象になることがあります。

そのため印刷物を制作するときには、

「画面で見えている色が、そのまま紙に出るとは限らない」

ということを理解しておく必要があります。

色を特に重視する印刷物の場合は、必要に応じて印刷会社へ確認したり、色校正などを検討したりすることもあります。

フォントや画像の扱いにも注意

制作したパソコンでは正しく表示されているのに、別の環境では文字が変わってしまう。

こうしたトラブルを避けるために、フォントの扱いにも注意が必要です。

Illustratorなどで入稿する場合は、印刷会社の指定に合わせて文字をアウトライン化することがあります。

アウトライン化すると文字が図形として扱われるため、入稿先に同じフォントが入っていなくても表示が変わりにくくなります。

ただし、一度アウトライン化すると通常の文字として編集しにくくなるため、編集可能な元データを別に残しておくことも大切です。

また、画像をリンクで配置している場合は、入稿データに画像が正しく含まれているか確認します。

「自分のパソコンでは表示されていたのに、入稿したら画像がない」

とならないよう、入稿前のデータ確認が必要です。

入稿前に最終確認する

印刷データが完成したら、すぐに入稿するのではなく、最後にもう一度確認します。

  • 会社名
  • 住所
  • 電話番号
  • 料金
  • 日付
  • QRコード
  • 写真
  • 誤字脱字
  • 仕上がりサイズ
  • 塗り足し
  • 画像の解像度

前回のブログでも校正についてご紹介しましたが、印刷物では特に最終確認が重要です。

Web上の情報と違い、印刷した後に間違いが見つかっても簡単には直せないからです。

印刷会社のデータチェックを通過したからといって、文章や電話番号などの内容まで正しいことが保証されるわけではありません。

「印刷できるデータであること」と「内容が正しいこと」は別です。

だからこそ、入稿前には制作側でも責任を持って確認する必要があります。


よくあるトラブル

失敗事例と対策

印刷物の失敗は、デザインが大きく間違っているときだけに起こるものではありません。

むしろ、小さな確認不足から起こることがあります。

例えば、先ほどご紹介した画像の解像度。

支給された写真をそのまま使用したところ、印刷すると想像以上に粗く見えてしまう。

この場合は、制作前に元画像のサイズを確認し、必要であればより高解像度の写真を用意することで防ぎやすくなります。

次に、文字サイズです。

パソコンの大きなモニターで拡大して制作していると、実際より文字が大きく感じることがあります。

しかし、A4サイズで印刷して確認すると、

「思ったより小さい」

「文章が読みにくい」

と感じることがあります。

そこで有効なのが、実際のサイズで印刷して確認することです。

特に文字量の多いチラシやパンフレットでは、画面上だけで判断せず、実寸で見ることで気づけることがあります。

QRコードが読み込めない

チラシやパンフレットでは、ホームページや問い合わせフォームへ誘導するためにQRコードを掲載することがあります。

ここでも注意が必要です。

  • QRコードが小さすぎる
  • 周囲に十分な余白がない
  • 画像が粗い
  • 掲載しているURLが間違っている

こうした問題があると、読み込みにくくなる場合があります。

そのため入稿前には、実際にスマートフォンでQRコードを読み取り、正しいページへ移動できるか確認します。

デザイン上きれいに配置できていても、機能しなければ意味がありません。

古い情報が残っている

以前作ったチラシをもとに新しいものを制作するときにも注意が必要です。

  • 開催日だけ変更する
  • 料金だけ変更する
  • 写真だけ差し替える

こうした制作では効率よく作業できる一方、古い情報が一部分だけ残ってしまうことがあります。

例えば、表面の日付は変更したのに裏面には昨年の日付が残っている。

本文の料金は変更したのに、小さな注釈には以前の料金が残っている。

こうしたミスを防ぐためには、修正箇所だけを見るのではなく、最後に制作物全体を確認することが大切です。

印刷後に誤字を発見する

印刷物で避けたいトラブルの一つが、印刷後の誤字や情報間違いです。

特に部数が多い場合、刷り直しには費用も時間もかかります。

納期が決まっている場合は、再印刷が間に合わない可能性もあります。

そのため、印刷物では「後で直せばいい」という考え方はできません。

制作担当者が確認する。

別の人にも確認してもらう。

依頼元にも最終的な内容を確認してもらう。

案件に応じて複数の目でチェックすることが、トラブル防止につながります。

また、修正が入った場合は、変更した部分だけではなく、その周囲や関連する情報も改めて確認します。

一つの修正によってレイアウトが崩れたり、別の文章との整合性が取れなくなったりすることがあるためです。


印刷知識は制作品質を支えます

印刷物を制作するとき、大切なのはデザインだけではありません。

  • 写真の解像度
  • 仕上がりサイズ
  • 塗り足し
  • 色の設定
  • フォント
  • 入稿データ
  • 文字や数字の最終確認

こうした一つひとつの知識と確認が、完成した印刷物の品質を支えています。

画面上でどれだけきれいなデザインが完成していても、実際に印刷したときに写真が粗かったり、文字が読みにくかったりすれば、良い制作物とはいえません。

私たち制作部が目指しているのは、パソコン上で完成させることではなく、最終的に使用する人の手元で、きちんと役割を果たす制作物にすることです。

  • チラシなら、必要な情報が分かりやすく伝わること。
  • 会社案内なら、企業の魅力や信頼感が伝わること。
  • 名刺なら、必要な情報が正しく掲載されていること。
  • パンフレットなら、手に取った人が読みやすく、内容を理解しやすいこと。

そのためには、デザインを見る目だけでなく、「このデータを印刷するとどうなるのか」という視点も必要です。

また、印刷には専門的な部分も多く、すべてを制作部だけで判断する必要はありません。

分からないことや特殊な仕様がある場合は、印刷会社へ確認することも大切です。

「たぶん大丈夫」で進めるより、事前に一つ確認することで、大きな失敗を防げることがあります。

そして、印刷物は一度形になると、多くの人の手に渡ります。

だからこそ、入稿前の最後の確認まで丁寧に行う。

デザインだけではなく、その先の印刷工程まで考える。

そうした見えにくい部分への配慮も、制作部の大切な仕事の一つだと考えています。

これからも私たちは、見た目の良さだけではなく、印刷した後まで安心して使用できる制作物を目指し、一つひとつの工程を丁寧に進めていきます。

良い印刷物は、良いデザインだけでは完成しません。

印刷に適したデータを作り、内容を確認して、適切に印刷する。

その積み重ねが、最終的な制作品質につながります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回は「色によって変わる印象の違い」というテーマで、赤や青などの色が与える印象や、制作物の目的・業種に合わせた色選びについてご紹介します。

ぜひ次回もご覧ください。